離婚後、今の妻と知り合ったのはすぐで、セッションで何度か会ううちにすぐに打ち解けたのでした。
初めて会ったときのジャズのジャム・セッションでは、彼女は慣れないジャズの演奏で頭が真っ白になりながら頑張ってピアノを弾いていました。その様子も印象的でしたし、客席に戻っても一人でビールを飲む様子がなぜか魅力的で、人目を気にせずすぐに話しかけたのでした。
何度かそのような場で会うことがあり、連絡先を交換して、彼女のライヴを聴きに行くことになりました。
ポップスや、ゴスペルが本職のキーボーディストだったらしく、ジャズセッションの時のテンパリ具合と打って変わってポップスのライヴでは堂々とした素晴らしい演奏を聴かせてくれました。
ジャンルは違えど、何か音楽に対して大事にしていることが同じに思えたし、会うごとに距離が縮まったように思います。
僕自身が学生の頃中途半端にしかできていなかったバンド活動で成功している図を見ることにもなりました。家を出ていれば同じ場所にいたかもとか、改めて後悔の念も含みつつ想像を広げたりしていました。
彼女も子供の時から親の虐待を受けていたらしく、音楽を思うようにすんなりやってこれたわけではないのてすが、音楽系の専門学校に入れてもらい、その後も音楽の世界で頑張って来たのでした。
付き合いだしてからしばらくで僕の家に転がり込んで同棲となりました。あとは結婚という状況でしたが、母がそのタイミングで亡くなりました。
母は気にせず結婚してと言い残しました。妻の適齢期のこともあったし早く式を挙げたかったのですが、兄に喪が明けるまで待てと言われ、1年待っての結婚となりました。